高速道路で、ガス欠寸前!

コッツウォルズ


ロンドンへ帰るには、まだ少し時間があるからと、

近くのケルムスコット(Kelmscott)へ。

この村には、コッツウォルズの美しい風景を愛した

イリアム・モリスのマナーハウスがあるのだけど、

納屋ばかりの淋しい農村で、私たちには、ちょっと退屈だったかも。




「そろそろ、ロンドンへ帰ろうか。ガソリンは、大丈夫かな?」

暗くなる前には、レンタカーオフィスに、帰りつきたい。

「たぶん、あと2時間も走ればレンタカー屋へ着くはずだから、

 その近くで給油すればいいと思うよ」

コッツウォルズへは、オックスフォードから入ったのだから、

帰りは、その逆を走って行けばいい。



三日間のドライブで、ナビの使い勝手やランナバウトに、

少し慣れた私たちは、それは、とても簡単のことのように思えた。



だけど現実が、イメージや思い込みと異なることは、よくあること。

何車線もある高速道路は、コッツォルズの田舎道とは、まるで別モノ。

何をそんなに急ぐのか、どの車も狂ったようにぶっ飛ばしている。

(70マイル制限らしいので、実際は130キロくらいなのだろうけど…)



流れに乗って走れば、ナビの指示に従って、瞬時にルート変更することは、不可能だ。


「次の分岐、右だよ」

「ダメぇぇぇ〜!車線変更できなぃぃぃい〜!!!」


ガソリン残量に、少しの猶予もないというのに、

目的地のレンタカーオフィスは、どんどん遠ざかっていく。





「次のジャンクションで降りて、修正すればいいよね」

明るく声を掛け合うのだけれど、その降り口が、なかなか見つからない。

みんなの不安が大きくなって、車の中の空気が、恐怖に満ちる。



ガス欠で助けを求めるには、英語で何と言えばいいんだろう?

頭の片隅でそう考えながら、ナビと、私たちの強運を信じていた。