高速道路で、ガス欠寸前!
ロンドンへ帰るには、まだ少し時間があるからと、
近くのケルムスコット(Kelmscott)へ。
この村には、コッツウォルズの美しい風景を愛した
納屋ばかりの淋しい農村で、私たちには、ちょっと退屈だったかも。
「そろそろ、ロンドンへ帰ろうか。ガソリンは、大丈夫かな?」
暗くなる前には、レンタカーオフィスに、帰りつきたい。
「たぶん、あと2時間も走ればレンタカー屋へ着くはずだから、
その近くで給油すればいいと思うよ」
コッツウォルズへは、オックスフォードから入ったのだから、
帰りは、その逆を走って行けばいい。
三日間のドライブで、ナビの使い勝手やランナバウトに、
少し慣れた私たちは、それは、とても簡単のことのように思えた。
だけど現実が、イメージや思い込みと異なることは、よくあること。
何車線もある高速道路は、コッツォルズの田舎道とは、まるで別モノ。
何をそんなに急ぐのか、どの車も狂ったようにぶっ飛ばしている。
(70マイル制限らしいので、実際は130キロくらいなのだろうけど…)
流れに乗って走れば、ナビの指示に従って、瞬時にルート変更することは、不可能だ。
「ダメぇぇぇ〜!車線変更できなぃぃぃい〜!!!」
ガソリン残量に、少しの猶予もないというのに、
目的地のレンタカーオフィスは、どんどん遠ざかっていく。
「次のジャンクションで降りて、修正すればいいよね」
明るく声を掛け合うのだけれど、その降り口が、なかなか見つからない。
みんなの不安が大きくなって、車の中の空気が、恐怖に満ちる。
ガス欠で助けを求めるには、英語で何と言えばいいんだろう?
頭の片隅でそう考えながら、ナビと、私たちの強運を信じていた。
テムズ川沿いの村、レッチレイド。
もうすぐ夕刻のはずなのに、陽はまだ高い。
「これから、どうする?」
レンタカーオフィスの営業時間内に車を返却するつもりなら、
そろそろロンドンへ向かわなければならない。
「駅への送迎を諦めれば、返却は今日中でokって、言われたよね」
「でも、ヘンドンセントラル駅までは遠くて、歩けない距離だったよ」
「じゃぁ、タクシーで帰ればいいじゃん」
私のへっぴり腰を制して、友が、朗々と提案する。
でもさ、ここは外国。
繁華街から離れた、あのレンタカーオフィス近辺で、
日本みたいに、簡単にタクシーが拾えるのだろうか…。
「何かの事情で、返却が時間外になる場合に備えて、
念のために、最寄りのバス停は、聞いてはあるけど…」
「ラッキー! それなら、問題なし!次の村へ、GO!」
元気印・ポジティブな道連れと一緒だと、旅はますます愉快になる。
「あっ、この村。なんかイイ感じ」
車を停めて、ぶらぶら歩き。
ここはレッチレイド。
観光客らしき人たちの流れに乗ると、テムズ川にかかる橋の上に着いた。
「のどかなところだねぇ」
「次に来る時は、ナローボートにも乗ってみたいなぁ」
時を忘れて景色を楽しむには、寒すぎたけれど、
それでも、次の旅への夢は、どんどん広がっていく。
カッスルクームのパブで。
「日本人とおしゃべりするのは、あなたが二人目」
ベンチで隣り合わせたおじさんが言った。
「じゃぁ最初の日本人は、誰なの?」
「ここのマナーハウスのレストランで働く若者だよ」
教会があり、パブがあり、
家々は花で飾られ、
ドアには、ウエルカムベアがぶら下がっていた。
ここにも、ここの営みがある。
青空のグリットレトン。通りがかりのパブでランチ&サマープディング。
カッスルクームへ向かっているうちに、
時々、雨雲が切れて、
しばらくすると、スカイブルー!
ガイドブックには、載ってない村だから、
名前もわからないけど、「気持ち良さそうだから、歩いてみようよ」
このお城みたいな建物は、なんだろう?
この村は、グリットレトン(Grittleton)。
お城のような建物は、今はプライベートスクールだけど、
その昔は、マナーハウスだった。
マナーハウスで働く人たちが、住みついてこの村ができ、
今でも、ここのたくさんの人が、このプライベートスクールで仕事している…。
そんな風に理解したのだけど、うまく聞き取れなかったから、
村の名前も歴史も、ほんとうのところは、よくわかんな〜い。
おしゃべりは弾まなかったけど(英語力不足だ!)
パブに集う人たちと、乾杯した。笑いあえた。
日本のことは、よく知らないみたいだったけど、
「遠くからよく来たね」と、歓迎してくれた。
そのうえ、みんな、とっても親切!
帰り際に、カッスルクームへの道を尋ねたら、
間違いやすいと教えてくれた曲がり角まで、車で追っかけてきてくれた。
ほんとに、ありがとう。
次回、コッツウォルズに来る時も、きっと、寄るからね。
(ちゃんと英会話の練習もしておくし…)
See you again!