ヒースロー空港で。
ロンドンのタクシーは、とても機能的。
向かい合っている後ろの座席が、
パタンパタンと折りたためるから、
びっくりするほど、大量の荷物が積み込める。
それに、運転手さんの笑顔も素敵。
言葉に不自由な旅行者にも、もちろん親切だ。
私たちの2週間分の荷物は、23kgの重量制限ぎりぎりの大きなスーツケースと、
機内持ち込みの手荷物が、それぞれひとつずつ。
空港の大きなカート、2台からも、あふれだしている。
そのうえ、ふくよかを通り越した、嵩高い四人組。
カートを押しながら、よたよたタクシーに近づき、
たどたどしい英語で、つまりながら言ってみる。
「ウィンブルドンまでお願いします。四人です。荷物が多いから、二台で」
運転手さんは、私たちの荷物をちらりと見ただけで、
「一台で大丈夫!全部、積めるよ」と、にっこり。
手際良く座席を倒して、パズルのように積み込んでいく。
それでも、積み残した手荷物が、 ぽつんと路上にひとつ。
「さぁ、乗って、乗って」
ジェスチャー交じりに、うながされて乗り込んだ、
不安顔の私の膝に、最後の手荷物を、ひょいと乗せてくれた。
すごっ!
40分ほどのウィンブルドンまで、約70ポンド。
チップを、はずむしかないよね。